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よしおくんの日記帳

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神経症体験5

―車の免許をとる―

 百姓を本業でやろうと思った時、最初の難関は車だった。趣味でやっている間

は昔の運搬車(自転車の一種で骨格ががっちりしていてタイヤが少し太く、荷台

が広い)を見つけてきて、それでまに合わせていたが、本業となるとそれでは無

理だった。リヤカーも時々使っていたが、車道では危なくて使えなかった。


かつて学生時代、将来の田舎暮ら暮しを想定して教習所に通っていたことがある

が、持ち前の気の短さで、教員とケンカして途中で止めてしまった。その二の舞は

許されない。兎に角、トラブルを起こさないように気をつけた。実習の時は必ず自

分の方から挨拶し、天候の話やら、なるべく俗耳に入り易い話題を見つけて話しか

けた。そういう類いのことは最も苦手で、まるでほうかん幇間にでもなったような気

持だったが、神経症で鍛えられたお陰で、その役も楽しむことができた。


 私は不器用だし機械類に弱いので、怒鳴られる前に、頭が悪いことを強調して

予防線を張った。敵はその作戦に引っかかって、たいていは平穏にいったが、時

にはカンシャク持ちが居て、大声で罵倒されることがあった。そんな時、そのいい

方に注意がいくと腹が立つが、何がいいたいのかその内容に耳を傾けると腹立ち

は視界から遠ざかり、相手の言わんとすることに納得することがあった。「正受不

受」(正しく受ければ、受けずも同じ)を日常生活に応用した訳である。


 車はさすがに自転車やリヤカーに比べ稼動力が大きく、今までより広い範囲を廻

れるようになって、他人の土地まで借りて耕すようになった。


つづく
by kumanodeainosato | 2011-02-06 08:41 | 神経症体験